「ユダヤ人が好きな人」とか「中国が好きな人」といったラベリングの怖さ

同じくhttp://adon-k.seesaa.net/article/18421170.html?reload=2006-05-28T05:00:32だが、おかしな発言が闖入してきた。発言主はhttp://d.hatena.ne.jp/kemu-ri/20060603で「あべこべに引用」という迷言をおこなった野良猫氏。

>青狐グループの方々

南京事件」と「東京大空襲・広島原爆」の最大の違いは、政治性の有無でしょう。日本側がこれらを題材に「共通する歴史認識」を他国に求めた事はないし、水増しなどをする理由もない。なぜなら、日本側には抗日記念館のように他国への憎しみを煽る必要なども無いからだ。ここが最大の違いでもある。
 中国が日本軍による犠牲者の数を年々増やしていったのと異なり、日本側の数値は訂正される事はあってもごく僅かなものです。

 だから「中国側のカウントがいい加減でも日本側だって不自然だ」と暗に語る形での中国擁護論にあまり意味はない。……というより、あなた方の好きな国の基準でものを語らないでほしい。

>南京の話題について

「肯定派」の人は議論の目的を明らかにするべきだ。異論を持つ人間に持論を理解して欲しいのか。あるいは、政治ネタのからんだユーモアを語るべきではないと言いたいのか。
 それとも、異論を持つ人間達と延々と一方的フリートークを続けたいのか。これの場合は、頼まれてもいないのにサークルスペース前で何時間も語るマニアさんと変わらない(即売会には結構居る)。

 議論は結論へと進まなくてはならないのだから、そろそろ基本的なポジションについて語ってもらいたい。
 まず「肯定派」の人間は、どの知識人を最も信頼して持論のベースとしているのか。そこを述べるべきだ。それだけ語れるなら「大虐殺派」か「中間派」くらいの区別はつくはず。ちゃんと「議論」をしたいのなら、むしろ進んで説明するべきことなのだ。

 ……もし何らかの理由で答えない場合は、全面敗北宣言をしたものと解釈する。議論の入り口はここにあり、門をくぐろうとしない人間に付き合うほど他人は暇でもない(いや、そういうのが大好きという人も居そうですが)。

Posted by 野良猫 at 2006年06月23日 20:30

突っ込みどころ満載だが、とりあえず「あなた方の好きな国」という発言について。
そもそも私は「証拠」や「証明」をめぐる南京事件否定派のダブスタを指摘したのであり、これのどこが中国擁護論なのかという点はさておき、青狐グループというのは十条氏と私のことだと思うが、「あなた方の好きな国」とはどこの国だと言いたいのか。何を根拠に。


ヨーロッパには「アウシュビッツ否定論」をめぐる議論がある。では、アウシュビッツ否定論に異論を唱える人は「ユダヤ人を好きな人間」と扱われるのですかね。
中にはそういう人もいるだろうが、「反・アウシュビッツ否定論者」=「ユダヤ人が好きな人」などと単純化して語ることができるのですかね。


あのコメント欄の議論は「南京事件」そのものというより「南京事件=捏造説」、俗に言う「歴史修正主義」言説をめぐるだったはず。じゃあ「南京事件捏造説に反対する立場」は「中国が好きな人」だと言いたいのかな。


こういう「日本の味方か、中国の味方か」という単純な観念がいちばん危険だろう。ユダヤ対反ユダヤとか、反中対中国の味方とか、そういう二分論で人を語ることは愚かしいと思う。