BigBangさんの「finalvent氏を支持する」について(箇条書きバージョン1)


一言で言えば、「ポールさんのようになる」という、町山氏の立てた命題と「関東大震災事件」を想起させるという、現在の論点とは異なることころで、町山氏の文章を批判し、finalvent氏を支持している印象。筋違いの批判と筋違いの支持。BigBangさん個人の考えは高く評価するんだけど、なんでfinalvent氏を支持しているのか、読んでもほとんど理解できなかった。

finalvent氏を支持する(1)------ホテル・ルワンダを巡るカオスについてより

(1)国際社会という視点について

国際社会という視点と「ポールさんのようになる」命題は独立の事柄である。前者が後者を、後者が前者を無効化するわけではない。

(2)フツとツチの抗争とは何か

その事柄は「ポールさんのようになる」という命題を無効化するわけではない。
別に町山氏は「ルワンダを理解する」という命題のために関東大震災を持ち出しているわけではないのだから。

(3)我らは、そしてあなたは客観的なりうるのか。

ここがいちばんわからない。
自国の事件に対し客観的に向き合うことが容易でないからといって、「ポールさんのようになる」という命題が無効になるわけではないでしょう。
別に町山氏は「ルワンダを理解する」という命題のために関東大震災を持ち出しているわけではないのだから。



finalvent氏を支持する(2)------無限の虐殺のリプレイスより

略奪があったかどうかなどとは、大したことではないと言う者もあるかもしれない。そうであれば、僕はその人に問いたい

略奪の有無が、「ポールさんのようになる」という命題の意味を損なうとは考えられない。

我らの国に起きたことを考えることで、彼らの惨事を「引き寄せる」と称して、実はそこから先は我らと朝鮮人との不幸な歴史を考えることで、ルワンダについて考えることを放棄していないか?

すでに上でも述べたが、「ポールさんのようになる」という命題と「ルワンダについて考える」ことは排他的ではない。前者は後者を、後者は前者を排他しない。ダルフールも同様。

ここで言えば、朝鮮民族への虐殺を言うのであれば同等に、東京大空襲や原爆の体験はどうなのか。それは「近接する隣人」同士の殺し合いではないから、ここで言う「参照」にそぐわないのか。

「ポールさんのようになる」という命題は、K_NATSUBA氏が言うとおり「自分が所属する集団が虐殺加害者になった時、「あなたは隣人を守れますか?」虐殺被害者を庇えるか」という命題なのだから、その命題に沿えば加虐事例を参照するのが適切である、というだけの話だと思う。
別に被害事例の参照を否定はしない。ただ、「ポールさんのようになる」という命題とかみ合いにくいだけの話である。

付け加えると、揚げ足取りを最初に行ったのはfinalvent氏である。

町山さんは、虐殺の一般性・人間性に着目し、別に関東大震災朝鮮人虐殺と特定されないと主張している。
だから、それなら、通州事件でもいいわけだな、という洒落だよ。

「ポールさんのようになる」という命題に鑑みれば、日本人に向けた文章では「関東大震災」であって、「通州事件」にならないのは道理である。

これを洒落でも皮肉などと解釈している人は、単に「ポールさんのようになる」という命題を無視して語っているだけのことである。
事実、BigBangさんはその命題とはズレたところで、繰り返し異議を述べている。

彼の事件を身近に引き寄せるという意味か?それを理解するためになぜ我らはルワンダから遠く離れなければならないのか?そしてダルフールでも同じ手法を使わなければ、我らは起きていることへの共有の視線をもてないのだろうか。

BigBangさんはその「ルワンダを引き寄せる」ためではなく、「ポールさんのようになる」という命題に鑑みて言及されたを理解できずに、筋違いの異議を続けているが、その主張をよく読んでみると、BigBang氏がfinalvent氏を「支持」しなければいけない点はほとんどないことに気がつく。おそらく「ダルフール」一点を除いては。
しかしこれも、ダルフールと「ポールさんになる」という命題が排他しあうという誤解の上にな成り立っているだけである。


こうしてBigBang氏はfinalvent氏を「支持」するのであるが、結果として「ポールさんになる」と「ルワンダダルフールを理解する」の非排他性に気づかず、いっぽうでfinalvent氏の寄せ集めの主張の中にある「意図」に気づかず、表面的に支持しているだけだと思う。

19;30補足 こうしてBigBang氏もfinalvent氏も町山氏の最後の一行に好意的ではない。しかしその理由は、BigBang氏は「ルワンダを理解するのに関東大震災とフィルターはいらないでしょう」からだが、finalvent氏の場合は「同胞がアウシュビッツに送られる」リスクを増大させるからだ。二人のベクトルはばらばらで、ただあの一行への態度だけで共通している。BigBang氏の側にfinalvent氏を支持しなければいけない理由は、私には見あたらない。


ここで時間がなくなったので、バージョン1終わり。バージョン2については全く未定です。


*1

*1:なお、加虐側に寄り添って歴史上の事件に考察を加えるという事例としては、「はてな」上でも青狐氏の南京事件は、日本軍の「自国兵士への虐待」から始まった南京事件を子ども達にどう伝えるか、という難問といったものがある。これはルワンダ虐殺とは異質の事件であるが、その考察視点は示唆に富むと思う。