「シロ」「シロに近い灰色」「クロに近い灰色」「クロ」


野良猫氏が、私のこれで「証拠」を提示したつもりなんですかねに言及されているので、読んでみた。

野良猫氏は、以下の点については問題を適切に理解していると思う。

二人のコメントには微妙な言い回しがあるのだが、ADON-Kさんが「あったと証明出来ないことは少なくとも『ある』とは言えない。クロと証明出来ないものは少なくとも灰色に過ぎない」と答えていれば、ここで流れを断ち切れたかもしれない。

つまりクロとシロの間に灰色のゾーンがあることを認識している。
しかし、以下の点に関しては私は野良猫氏と見解が異なる。

 もう少し厳密に言うなら、確定的な証拠が揃わない場合は「シロ」と判断しても構わない。しかし、研究家や犯罪捜査に関るような人間ならば、評価を「保留(灰色でもいい)」として調査を続けるべきだろう。
 もちろん、対象を「クロ」と認定するには具体的ではっきりとした証拠固めが要る。結局のところ「肯定派」は持論を具体的に説明しなければならない。


確定的な証拠が揃わない場合、「シロ」と判断するのが妥当、「シロに近い灰色」と判断するのが妥当か、「クロに近い灰色」と判断するのが妥当、この3つの可能性がある。
いちがいに「シロと判断するのが妥当」と決めつけることはできない。


南京事件の場合、日本陸軍の中枢部や松井大将自身が「日本軍が事件を起こした」ことを認識しており、この時点で既に「シロ」ではなく、ある程度の濃さを持った「灰色」であるわけだ。
したがって「シロ」を主張する人は、「こういう灰色の要素が有るがやっぱりシロ」といえるだけの根拠を提示する必要が有るはずだ。

日本軍中枢部の認識は以下のようなもので伺い知ることができる。
http://www.geocities.jp/yu77799/gunjin.html#matuiiwane
http://www.geocities.jp/yu77799/gunjin.html#shunroku
http://www.geocities.jp/yu77799/gunjin.html#okamura
http://www.geocities.jp/yu77799/gunjin.html#mazaki


したがって、「灰色」領域にある南京事件南京大虐殺に関して、「持論を具体的に説明しなければならない」のは否定派も同様なのである。
ブログのエントリーで「シロ」だと述べた人間は、何を根拠に「シロ」と述べているのか、その根拠を提示する必要があるだろう。その根拠が提示できない人間に向かって「あなたの認識は間違っている」とは言えなくても「結論先走り」「短絡」「勇み足」等指摘することは可能である。
そしてそれは、決して無駄な行為ではない。

野良猫氏の「シラを切り通す」メソッド


ところで野良猫氏のブログをひさしぶりに見て、昨年12月頃のAPEMAN氏、berry氏、青狐氏と野良猫氏の議論を今日はじめてきちんと読んでみたのだが、そこでも野良猫氏が相変わらず「野良猫メソッド」を全開させていて、読んでいて苦笑することしかり。


例えば、野良猫氏が笠原氏の「南京事件」120ページの記述を歪曲して自分の主張に使い、歪曲を指摘されても最後までしらばっくれるというくだりがある。


ちなみに「南京事件」120ページの記述は以下のとおり。

中国軍は南京城壁の周囲一、二キロにある居住区全域と南京城から半径十六キロ以内にある道路沿いの村落と民家を強制的に焼き払った。

「道路沿いの」という限定がポイント。
ちなみに、「住民は残っていない」という記述はない。

野良猫

いいえ、南京攻略戦に入る前の段階で国民党軍による「清野作戦」が実施され、南京城外の半径16キロを焼き払ってしまっています。ですから、当該地区に住民は残っていません。

berry

その根拠は何でしょうか。

野良猫

>その根拠は何でしょうか。「南京城外の半径16キロを焼き払ってしまっています」


そう書いているのは「南京事件(笠原十九司)P.120」ですよ。

Apeman


> そう書いているのは「南京事件(笠原十九司)P.120」ですよ。


平然と嘘を書かないでください。

野良猫


>平然と嘘を書かないでください。


うわ、すごい事を言いますね……。他の方にふるのは申し訳ないですが、
http://www5b.biglobe.ne.jp/~nankin/page016.html

Apeman


> うわ、すごい事を言いますね……。他の方にふるのは申し訳ないですが、


ほう。まだしらを切りますか。あなた、笠原氏の『南京事件』もってますか? 多分持ってないんじゃないですか? 持ってるなら、当該箇所を“正確に”、その前後まであわせて引用してみてください。

青狐(bluefox014)



>自分からは以上です


野良猫さんは議論の終了を意図されているわけですね。前回の「メモ59」での笠原「南京事件」120頁の内容を歪曲・捏造したことには一言も言及すらせず、さらに今度の「メモ60」でも新たな歪曲・曲解をされているようですが、こういう「歪曲・曲解・捏造の繰り返し」はもはや野良猫さんの「議論手法」になっているようですね。

野良猫

ご指摘ありがとうございます。そのおかげで「南京事件」をきちんと読み返しながら、この記事を書くことが出来ました

青狐(bluefox014)


>「南京事件」をきちんと読み返しながら、この記事を書くことが出来ました。


ということは、「きちんと読み返しながら」同書の120頁の内容を歪曲・捏造して、その後もシラを切り続けているわけですね。いやあ、やっぱり「歪曲・曲解・捏造」は野良猫さんの議論手法なのですね。

いやはや、困ったものですね。

Apeman


> ご指摘ありがとうございます。


これはひょっとして、笠原氏の『南京事件』を歪めて援用したことをしぶしぶ認めたということなのでしょうかね? なにしろ清野作戦の規模が問題になっているときにあれほど重要な語句を省略してしまうんだから、野良猫さんの文章に引用がある時には原典の参照が欠かせませんね。

私は野良猫氏との議論を極力避けてきたのだが、これを読むと自分の判断が間違っていなかったことを再確認させられる。
おそらく、彼は「南京事件」を持っていなかったのだろう。